タイと米国、通商協定で主要事項に合意 関税は合計19%以内の見込み
タイのスパジー副首相兼商務相は2026年9月4日、米国との相互貿易協定(ART)の交渉で主要な事項について合意に達したと発表しました。9月1日にワシントンD.C.で、米通商代表部(USTR)のジェイミソン・グリア代表、リック・スウィツァー次席代表と協議した結果です。
米側はタイの姿勢を評価し、構造的な過剰生産能力に関する通商法301条の調査結果が公表される前に、主要な事項をまとめられたとしています。あわせて米側は、この調査の結果としてタイに公正で競争力のある関税率が適用されるとの見通しを示しました。両者は技術チームで細部を詰め、ARTをまとめることで一致しています。
IEEPA関税36%から19%、判決後は122条で一律10%
タイは対米貿易で黒字が続き、その幅も年々広がってきました。このため米国は関税を交渉の圧力に使っています。タイにはIEEPA(国際緊急経済権限法)に基づく相互関税が36%まで課されていましたが、共同声明の取りまとめとARTの枠組み公表(2025年10月26日)を経て19%に下がりました。この枠組みで、タイ側は農産物、エネルギー、航空機の輸入拡大と、対米投資の拡大に合意しています(タイラット)。
2026年2月に米最高裁がIEEPAに基づく関税を違法と判断したため、米国は通商法122条に切り替え、すべての国から一律10%を徴収しています。ただし122条には期限があるため、米国はさらに301条の調査を2件開始しました。構造的な過剰生産能力の問題と、強制労働で作られた製品の輸入を禁じる措置がない問題で、タイは両方の対象です。
強制労働の件は12.5%、ARTをまとめれば10%
強制労働の件について米国は、輸入を禁じる法律がない国に12.5%、法律がある国、または米国とARTをまとめられた国に10%の関税率を設定しています。構造的な過剰生産能力の件は調査結果を検討中で、米側はART交渉の進展にあわせて関税率の検討を急ぐ意向を示しています。
スパジー氏は、今回ARTがまとまることで、強制労働の12.5%と過剰生産能力の分をあわせても、タイに課される輸入関税は合計で19%を超えない見込みだとしています。301条調査(過剰生産能力)の結果は、9月1日の時点で翌週の公表が見込まれていました。
対米輸出は2.37兆バーツ、雇用40万人
米国はタイにとって輸出先の第1位です。2025年の対米輸出額は2兆3,700億バーツを超え、この貿易に関わる国内の雇用は40万人を上回ります。同相は、交渉を早くまとめることがタイ製品の競争力を保ち、タイへの投資家の信頼を維持することにつながるとしています。
タイに拠点を置いて米国向けに製造・輸出している企業にとっては、301条調査の結果とARTの内容が今後の関税率に影響する可能性があります。