バンコクの無許可データセンターを政府が調査 住宅街に大量の燃料備蓄
タイのデジタル経済社会省(DE省)のチャイチャノック・チットチョープ大臣は2026年9月1日、バンコク都内に許可を受けていない場所へ設置されたデータセンターが複数あることを認め、関係機関に調査を指示したと述べました。施設数は集計中で、外国資本の関与についても「可能性はある」として調査を進めるとしています。
非常用発電機のための燃料の大量備蓄についても、大臣は「実際にあるとみられるが、量はまだ分からない」と述べ、王立タイ警察に協力を要請したことを明らかにしました。現行法に違反するかどうかも、これから調べるとしています。
倉庫として申請すれば住宅街にも建てられる
データセンターは1992年の工場法で「工場」に分類されず、環境影響評価(EIA)が必要な事業にも指定されていません。このため多くの施設は、倉庫やデータ保管施設として建築許可を申請することで、建設前のEIAを経ずに建てられているとされています。倉庫は都市計画上ほぼどの用途地域にも建てられるため、病院の隣や住宅街の中にも設置できる状態です。
人民党のスパナット下院議員(バンコク選出)によると、倉庫として許可を取りながら、最大400,600リットルの燃料を貯蔵できる施設がありました。また、ラムカムヘン・ソイ28の施設には約429,000リットルが備蓄されているとの情報があります。燃料の貯蔵を規制する法律が定める500,000リットルの基準に届かないため、その水準の監督は受けていません。
THE STANDARDがラムカムヘン・ソイ28の施設の周辺住民に尋ねたところ、その建物が何であるかを知っている人はいませんでした。
監督する官庁がはっきりしない
タイ国内のデータセンターは65か所で、うち45か所がバンコクにあります(Data Center Map調べ)。ただしTHE STANDARDが関係機関に問い合わせたところ、全体の所在地や監督の担当について明確な回答は得られませんでした。バンコク都は検討チームを設置中、工業省は工業団地内でなければ直接の関与はないと回答しています。
タイがデータセンター投資の誘致を進めて3年になりますが、この業種を対象とした専用の法規制は今も整っていません。スパナット議員は、2つの主要官庁に早急な対応を求めるとともに、都市計画で電力と水の使用量に応じた区域を定め、住宅地から離れた場所に集約すべきだと主張しています。BOI議長を兼ねるエカニティ副首相兼財務相も、認可書類が整っていない施設があるとして、整理に向けて協議するとしています。
在タイ日本人にとっては、自宅の近くで倉庫として許可された建物が、実際にはデータセンターとして使われている可能性があります。スパナット議員は、24時間の稼働に伴う電力と水の大量使用、排熱、騒音、燃料備蓄の危険について、規制と検査が追いついていないと指摘しています。